今や医療機関でもIT化が進み、ホームページ制作に力を入れる病院が増えてきました。しかし集患につながらず、「ホームページを作っただけに終わっている」と悩む病院も少なくありません。時間的・金銭的コストをかけてホームページを制作した以上は、やはり集患に強いホームページであることが理想的です。

今回は、ホームページで集患ができない理由や成功するためのコツ、専門業者に頼む際の注意点について解説します。

病院ホームページで集患できない理由

今やホームページは病院に欠かせないツールとなりつつありますが、集患できていないページが多いことも現状です。その背景には、以下のような理由が考えられます。

理由①情報の量と質が足りていない

ホームページ制作をしたものの、病気についての簡潔な説明や医師のプロフィール、基本情報のみが掲載されているページがあります。これらの内容はホームページには欠かせませんが、それだけには集患にはつながりません。

ホームページを閲覧する患者側は、「この病院は自分の症状をどのように良くしてくれるか?」と確かめるため、詳しい情報を求めています。したがって、見込み患者が受診を決めるためにも、病院の治療方法や治療方針、医師の丁寧なプロフィール、患者側への思いなど、病院についての情報は非常に重要なポイントです。

また病気や治療法についての説明が難解である場合、病院の外装や内装についての写真が少ない場合でも、見込み患者の来院は期待できなくなります。病院のホームページはただ制作するのではなく、情報の量と質が必要不可欠です。

理由②スマートフォンに最適化されていない

ホームページを制作する際、多くのページでスマートフォン対応機能が備えられており、患者側がスマートフォンやタブレットで閲覧しても自然に最適化される仕組みになっています。しかし、実際には「パソコンの画面がスマートフォンの画面に映し出されているだけ」というケースも多いです。スマートフォンの普及が進み、シニア層でも利用率が高まっている現在では、それでは形が最適化できているだけで、内容の最適化にまではつながっていません。

パソコンとスマートフォンでは見え方が異なります。だからこそ、スマートフォン対応に加え、パソコンでのホームページ制作とは別にスマートフォンで読みやすく見やすいページに整える必要があります。

理由③制作後に更新がされていない

「ホームページ制作後、数か月あるいは数年も更新がされていない」という状態になっていないでしょうか。日々の診療や病院経営が忙しいと、ホームページの更新にまで手が回らなくなりがちですが、「更新頻度が低い」としてSEO対策で不利になります。

更新頻度は、Googleがホームページを評価する基準の一つです。頻度が低ければ「古い情報」として順位を下げ、高ければ「患者側に正しい情報を提供している」と評価します。そのため、ホームページ制作後も新しいページや情報の追加などで、更新し続けることが必要です。

理由④予約・問い合わせの導線がない

ホームページからの来院を促すには、WEB予約や問い合わせフォーム、連絡先など、来院までの導線が大事なポイントです。

十分な情報を提供していても、来院や予約までの導線がなければ、情報提供するだけのホームページで終わってしまいます。充実した内容で見込み患者の関心を集められたら、「受診するにはどのページに行けばいいか?」「WEB予約か、電話か、直接来院か、どうすれば診察を受けられるか?」と、次のアクションへの答えを出してあげると良いでしょう。

集患に強い病院ホームページ制作をするポイント

以上でお話しした理由4点は病院のホームページ制作で見逃しやすいポイントであり、反対に考えれば、これらを補うことで集患に強いホームページが完成します。以下、それぞれのポイントについて詳しくご説明します。

①ホームページの内容を充実させる

集患に強いホームページのためには、以下のようなポイントが求められます。

  • ・病院としての強み
  • ・診療科目や疾患についての説明
  • ・どのような治療をしているか
  • ・医師のプロフィールやメッセージ
  • ・患者側に伝えたいこと

特に病院の強みや独自性は、集患のためになくてはならないポイントです。実際に見込み患者は病院のホームページを閲覧する際、ほかの病院のページもチェックしています。複数の候補先を持ちながら、「どの病院が自分の症状を良くしてくれるか?」「悩みを解決するために、どんな病院に行きたいか?」と考えているのです。その中で、例えば「リハビリテーションに力を入れている」「なるべく歯を削らない歯科治療をしている」「痛みの少ない対応に努めている」など、病院の特徴やこだわりがわかれば、患者側としても「この病院になら行ってみたい」と前向きな気持ちになります。

患者側にとってわかりやすい内容に整えることも大事です。病院側から発信する内容は、時に一般向けではなく、患者としても「難しすぎて理解できない」と思ってしまうケースがあります。医療関係者でなくてもわかりやすい文章かを再考し、患者側の目線に立った内容にしましょう。

②スマートフォンに最適化する

スマートフォンのホームページ最適化には、

  • ・レスポンシブウェブデザイン(端末に合わせて自動的にデザインを調整する)を使う
  • ・スマートフォンとパソコン用のホームページを別に制作する
  • ・スマートフォン自動変換サービス(サーバー上でパソコン用のホームページを自動的にスマートフォン用に変換する)

主に3つの手段があります。

どの方法もスマートフォン最適化には良い手段ですが、ページとしての見栄えや患者側への伝わりやすさ、集患を目的とするなら、レスポンシブウェブデザインがおすすめです。スマートフォン自動変換デザインは費用が比較的安価であるものの、実際にスマートフォンで閲覧すると不自然に見えるケースもあるためです。レスポンシブウェブデザインならスマートフォンや端末に最適かつきれいなページに仕上がるため、集患のためにも視野に入れると良いでしょう。

どの方法でもスマートフォン最適化の目的は果たしてくれることから、かけられる費用と時間を照らし合わせ、自院に適切なもの選びましょう。

③自院の写真を改善する

病院の外装や内装、待合室、診察室、治療機器や医師の写真などの視覚的な情報も、見込み患者にとっては重要な判断材料です。

これらの写真もホームページの文章と同じように、量はもちろん質も意識する必要があります。いくら多くの写真を掲載していても、画像の粗さや暗さが目立っては患者側へのアピールにはならないためです。明るさを意識して撮影するか、費用をかけられるならプロのカメラマンに依頼するかで、明るく見やすい写真に整えましょう。

④ホームページを定期的に更新する

ホームページは一度制作して完成するのではなく、定期的に更新してこそ価値が高まります。

ホームページを更新するには、現時点で足りていない情報を加えるか、新しいコンテンツを設けるかなどの手段があります。診療科目や治療法、医師のプロフィールなどの情報がない場合には、補う形で加えましょう。すでに情報が揃っている場合にはブログ記事や自院からのお知らせ、または患者側からの質問への回答など、新たなコンテンツを増やしましょう。

定期的かつ有益な情報発信ができていると、Googleをはじめとする検索エンジンから有料サイトと判断され、上位に表示されます。また患者側も「熱心で真摯に向き合ってくれる」と評価し、「来院したい」と思うようになります。

⑤予約までの導線を準備する

最近では病院のWEB予約システムが普及し、患者側がホームページ上から来院予約ができるようになりました。パソコンやスマートフォンなどのインターネット環境さえあれば、病院に電話をかけなくても空き時間がわかり、来院までつなげられます。

WEB予約システムには相応の費用がかかりますが、

  • ・患者側の待ち時間を軽減できる
  • ・スケジュール管理がしやすくなる
  • ・予約受け付けの業務を軽減できる

というように、患者側にも病院側にもメリットがあります。予約受け付けの業務が減らせ多分、本文である診療に時間をかけられるようにもなるでしょう。

⑥MEO対策をする

MEO対策とはMap Engine Optimizationの略称で、マップエンジン最適化のことです。Googleマップのような地図アプリで上位検索し、見込み患者の来院を促しています。SEO対策と似ているように思われますが、MEO対策は検索エンジンではなく、地図アプリで優位に立つことを目的としています。

MEO対策には、

  • ・ユーザーの視線を惹きつけやすい
  • ・特定の地域に限られるため、競合が少なくなる
  • ・口コミが掲載できるため、集患効果を高められる
  • ・費用が抑えられる

など、メリットが非常に多いです。SEO対策では競合範囲がより広くなるため、時期や検索エンジンの傾向に合わせた対策が必要となりますが、MEO対策では範囲が狭くなる分、競争のハードルが下がります。また患者側による口コミが多ければ見込み患者に信頼されやすくなります。さらにほとんどの施策が無料で行えるため、コスト削減にも役立つでしょう。

MEO対策には、特に難しいプロセスは必要ありません。Googleビジネスプロフィールを取得し、アカウントに自院の基本情報や写真などを記載します。ただホームページと同じように、情報の量と質は意識しましょう。

病院ホームページの制作方法

病院ホームページの制作は自力でもできますが、専門業者に依頼するという方法もあります。集患を目的に考えるなら、多少費用がかかっても業者に任せるのが適切です。

ホームページ制作会社の選び方

ホームページ制作会社に依頼する際に気をつける点は、確実に集患ができる制作会社を選ぶことです。以下、選び方のポイントについてお話しします。

選び方①実績の多さ

<p>ホームページ制作を業者に依頼すると相応の費用がかかることから、損をしないためにも業績が豊富な会社を選びましょう。</p>

集患に強いホームページ制作会社は、自社のページに実際の実績や依頼先からの声などを豊富に掲載しています。実績や作品を前もって確認することで、業者選びの判断基準になります。また選ぶ際には、病院・クリニックのホームページ制作を専門とする業者に的を絞ると良いでしょう。

選び方②スマートフォン対応をしている

集患できない理由やホームページ制作のポイントでもお話しした通り、今後はスマートフォンの最適化は必須項目です。スマートフォン対応をしている業者を選ぶのはもちろん、スマートフォンの特徴を理解したページ制作ができるかを確かめましょう。反対にスマートフォン対応をしていない場合には、SEOやマーケティングにも力を入れていない可能性が高いです。

選び方③目的に合わせた提案ができる

ホームページ制作の目的には、新患獲得や既存患者の維持など多くがあり、目的に応じて方法も変わります。だからこそ、目的を理解したうえで可能な方法を提案してくれるホームページ制作会社を選びましょう。打ち合わせの段階で目的を伝え、それに合わせた制作ができるか、業者側に伝えることをおすすめします。

まとめ

インターネットの普及が進む現在では、「待っていれば患者からの予約が入る」時代ではなくなり、病院でもホームページの制作が当たり前となっています。さらに単なる情報提供型ではなく集患につながるページが求められ、それができていない病院は今後取り残されるリスクも高いです。

現状のホームページで集患できていないのなら、患者側にとって不十分なページになっておらず、またホームページとしての伸びしろもあると言えます。情報の量と質、スマートフォン最適化、院内写真の充実化、予約までの導線やMEO対策など、患者の目線に寄り添った施策をすることで、確実に集患に強いページに変わるでしょう。時代の流れに合わせた対応ができてこそ、強固な経営基盤に役立てられます。